百合の日記帳40
「夜と海」
2巻が発売したので読んでみました。
抒情的というか、心の機微を大事に描く作品なんですが、それを心象風景の生物達が所狭しとコマに現れて表現したりする面白い漫画です。
ミステリアスな少女がつんけんしている時はヴァンパイアの衣装を纏っていたり。自分の世界で考え事をしている時は深海魚が周りを漂っていたり。
外国のお人形さんみたいと評される無口な女の子と、思った事をサラッと口に出してしまえる天真爛漫な少女のお話。
両人ともどこか精神に穴があいていて、人付き合いに少し難ありな性格をしているんですが、「綺麗」への一目惚れから始まる二人の交流はいびつに見えながらも、心の仕舞い込まれた部分や凝り固まっている部分をうまくかき混ぜてくれる刺激になっていきます。
駆け足で過ぎていく高校3年間の青春。卒業という終わりを視界に捉えた時、小さな二人の世界はどうなってしまうのか。
これからの展開に期待せずにはいられません。
百合の日記帳39
「へんたいよくできました」
単行本が出たので読んでみました。
憧れの生徒会長をおかずに興奮していたらその妹に弱みを握られ首輪をつけられる生徒会役員のお話です。
表紙やタイトルからは何やらSMな匂いが香ってきますが、それほど強くはありません。
むしろそこから始まる甘酸っぱい恋模様こそがこの作品の主題といえます。
小憎らしい邪魔者な妹なのですが、独白でぽろっと零れる彼女のとある心情を目にしてしまったら最後、もう百合好きは妹応援サイドへ転がっていくしかなくなるでしょう。きっと。
百合の日記帳36
あさがおと加瀬さんの劇場版、見てきました。
長く連載しているバリバリの百合漫画が映画館のスクリーンに映ってるってなんだか不思議な気分です。
映画版は二人が付き合い始めてからの話がメインになっているので、結構原作ファン向けに作ってあったりするんでしょうか。
漫画の方では二人の馴れ初めやその後がたっぷり見られるので、映画からの人は是非読んでほしい。
原作とは少し違うキャラデザですが、これはこれで、女の子感が増していて(特に加瀬さん)良いと思いました。
主題歌も加瀬さんの世界にバッチリはまっていていいですね。加瀬さん役の人の歌声がかっこよくてキュンとしてしまった。
自分の中の「明日への扉」は、百合映画のデュオ曲になったことで百合ソングに昇華しました。めでたい。
上映後に物販コーナーでBDが買えるのもポイントが高い。サントラやらパンフやら結局1万近く飛んだけどとても気持ちがよかった。
百合の日記帳35
「リズと青い鳥」(ネタバレ有)
各所で話題になっていたので原作知らないまま見てきました。
いい百合でした。
吹奏楽部には響け!ユーフォニアムからのたくさんの人物が登場しているようですが、それは添えられているだけ。
話のスケールは大きくせず、スポ根群像劇の色は省く。あくまで少女二人の心の機微だけを丁寧に描いた作品という印象でした。
タイトルにユーフォニアムの文字が無いのは、つまりそういうことなんでしょう。
美術も音楽も、繊細でしっとりした空気を作るのにとてもいい仕事をしてくれて、いい意味で緊張しながら鑑賞する事が出来ました。
ちょっとでも物音をたてると、二人の世界が見られなくなってしまいそうだから、と言うんでしょうか。秘め事を遠くから覗き見るような。
劇中、童話の主役に例えられ、悲しい別れ、旅立ちを予見される二人ですが、理科室のハグで「スッキリ」したのぞみは、自分なりに自分達の物語のハッピーエンドを模索する事に頭を向けることが出来たのだと思います。
例の下校シーンは、みぞれさんの華やぎを見るに同棲の提案など、未来に繋がっていく発言をしてくれたのかなと自分の中の百合オタが補完中。
2回3回と、自分の中で消化と整理をしながら何度も見たいぜ。